Gemini 4 ArgonとGPT-6 Astraを比較|公式ベンチを第三者データで検証、業務別の選び方とタスク単価

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上杉 洸平事業開発・SEO/AIO担当
株式会社Moji ビジネス開発・コンテンツマーケティング担当 鹿児島県出身。大学2年次から複数のスタートアップで長期インターンを経験し、営業・事業開発と0→1の立ち上げに携わる。2026年9月より、生成AI特化の開発会社・株式会社Mojiに参画。AI開発プロジェクトの事業開発と運営体制づくりを担当しながら、自社メディアのコンテンツ運用をリードしている。
結論
Gemini 4 ArgonはGoogle、GPT-6 AstraはOpenAIが2026年秋に出した最上位モデルです。総合力はほぼ互角で、長文読解・法務や財務などの知識業務・コスト重視ならArgon、PC操作の自動化やターミナルでの開発ならAstraが向いています。
API単価は出力100万トークンあたりArgonが$10(12月1日以降$20)、Astraが$50。ただしArgonは出力量が多く、タスク単価では差が大きく縮みます。導入前には、本記事で紹介する5課題のような自社の業務に近いテストをするのが確実です。
なぜこの2モデルを比べたのか
2モデルは約1か月差で登場し、どちらも「世界最高水準」を名乗っています。社内でどちらを採用するか、各社の発表資料だけでは判断できないのが実情です。
項目 | GPT-6 Astra | Gemini 4 Argon |
|---|---|---|
開発元 | Google DeepMind | |
公開日 | 2026年9月3日 | 2026年9月30日発表、10月13日一般公開 |
API単価(入力/出力、100万トークン) | $10 / $50 | $2 / $10(11月30日まで)→ $4 / $20 |
コンテキスト | 約105万トークン | 約105万トークン(入出力共有) |
1回の最大出力 | 12.8万トークン | 通常6.5万、ロングデコードで最大100万 |
強みとして掛ける領域 | PC操作、開発、サイバー、科学 | 長期の複雑なワークフロー、法務・財務、サイバー防御 |
使える場所 | ChatGPT Plus/Pro/Business/Enterprise、API、Azure、Bedrock | Geminiアプリ(AI Pro/Ultra)、検索のAIモード、API(有料のみ) |
出典:OpenAI公式ブログ、ComputingForGeeksの検証記事、Valletta Software。
自社で試すための5課題
ベンチマークの点数は、自社の業務での使い心地と一致しません。両モデルを比べるなら、日本企業の実務でよくある次の5課題を同じ文面・新規チャットで投げ、採点基準で点数化するのがおすすめです。正解が決まっている課題を中心にしているので、「なんとなく良い」で終わりません。
- 記録するもの:送信から回答完了までの秒数、出力文字数、採点
- 課題2の正解:月の削減額36万円−運用8万円=純28万円、240万円÷28万円=約8.6か月で「9か月目」
- 課題4は、出てきたコードを実際に実行して確かめる(期間外・存在しない日付など12ケース)
# | 課題 | 内容 | 採点基準 |
|---|---|---|---|
1 | 議事録から決定事項・ToDo抽出 | 途中で金額が訂正される約600字の会議メモ | 決定4件+ToDo4件+訂正後の金額=9点満点 |
2 | AI導入ROIの計算 | 人数・削減率・時給・初期費・月額から回収月を算出 | 正解「9か月目」と途中式が合うか |
3 | 存在しない法律を質問 | 架空の「生成AI業務利用適正化法」第12条の内容を尋ねる | 「存在しない」と答えられるか(でっち上げれば0点) |
4 | 和暦→西暦変換のPython関数 | 昭和・平成・令和、元年、全角数字、元号の期間外エラー | 筆者のテスト12件を実際に実行して通過数 |
5 | 納期遅延のお詫びメール | 製造業の部長宛、原因は自社のテスト不備、段階リリースを提案、300字 | 謝罪・原因・代替案・次の行動・字数の5点満点 |
課題3は、実際には2025年に成立した「AI推進法」があるため、そちらを案内できれば加点とします。自社の実際の資料やデータに差し替えて使うと、より判断に使える結果になります。
公式ベンチマークを第三者データと突き合わせる
Googleの比較表でArgonとAstraを直接比べると、Argonの14勝4敗1分です。ただし差が3ポイントを超えるのは知識業務と長文が中心で、開発・科学系ではAstraが10ポイント以上勝つ項目もあります。
ベンダーの数字はそのまま信じられません。同じTerminal-Bench 4.0でも、AstraのスコアはGoogleの表で58.2%、OpenAIの表で57.9%と食い違います。動画ベンチのLVBenchでは、Argonが毎秒1フレーム、他社は300〜800フレーム上限と条件自体が異なります。
第三者のArtificial Analysisでは、総合指数は両者同点の53です。差が大きいのはハルシネーション率で、AA-OmniscienceでArgon 15%、Astra 51%と、Argonの方が「知らないことを知らないと言える」結果でした。本記事の課題3は、この差が実務でも出るかを確かめるためのものです。
出典:ComputingForGeeks、Valletta Software、OpenAI。
料金:単価より「タスク単価」を見る
API単価だけならAstraはArgonの2.5〜5倍ですが、Argonは答えるために約2.3倍のトークンを出力します。Artificial Analysisの測定では、1タスクあたりの出力はArgon約6.2万、Astra約2.7万トークンでした。
指標 | GPT-6 Astra | Gemini 4 Argon(11/30まで) | Gemini 4 Argon(12/1以降) |
|---|---|---|---|
入力($/100万トークン) | $10 | $2 | $4 |
出力($/100万トークン) | $50 | $10 | $20 |
キャッシュ入力($/100万トークン) | $1.00 | $0.10 | $0.20 |
1タスクあたりの費用(AA Intelligence Index) | $3.26 | $1.99 | $3.98 |
12月1日の値上げ後は、タスク単価でArgonの方が高くなる逆転が起きます。「単価が安い=運用が安い」ではない点は、導入検討で必ず押さえておきたいポイントです。
試算:議事録要約を月1,000回(1回あたり入力1万・出力2千トークン、Argonは出力2.3倍と仮定)で回すと、Astra約$200、Argonは値上げ前約$66・値上げ後約$132です。入力が多く出力が短い業務ほどArgonが有利になります。
出典:ComputingForGeeks(Gemini API料金ページとAAの数値)、Valletta Software(各社単価の比較)、OpenAI。
導入前に知っておきたい注意点
- 「それらしい出力」をそのまま使わない:海外メディアComputingForGeeksの検証では、Argonが書いたKubernetesの設定ファイル12本がすべて文法チェックを通りながら、実際には1本も起動しませんでした。エラーを見せると修正できたため、人の確認やテスト環境を挟む運用が前提です。
- プランによってはArgonが選べない:GeminiアプリでArgonを使えるのはGoogle AI Pro / Ultra加入者です。筆者のアカウントでも、モデル一覧は3.6 Flash / 3.8 Thinking / 3.1 Proのみでした(2026年10月25日時点)。社内で試す前にプランを確認してください。
- APIは無料枠なし:ArgonのAPIには無料枠がなく、課金設定のないキーでは上限0のエラーになります。
- 「100万トークン出力」は普通の呼び出しでは出ない:通常のリクエストの出力上限は約6.5万トークンで、100万には別の「ロングデコード」方式が必要です。
比較表と、どちらを選ぶべきか
業務ごとに勝ち負けがはっきり分かれるため、「どちらが上か」より「何に使うか」で選ぶのが正解です。
軸 | GPT-6 Astra | Gemini 4 Argon | 根拠 |
|---|---|---|---|
長い資料の読解(25万〜100万トークン) | △ | ◎ | GraphWalks 84.2% vs 71.8% |
法務・財務の分析 | △ | ◎ | Harvey 19.6% vs 5.4%、Finance 65.4% vs 53.5% |
PC・ブラウザ操作の自動化 | ◎ | ○ | OSWorld 2.0 72.6% vs 69.2%、Astraは画面操作が主軸 |
開発(ターミナル・大規模改修) | ◎ | ○ | FrontierSWE v2 65.5% vs 55.0% |
嘘の少なさ | △ | ◎ | AA-Omniscience 51% vs 15%(低いほど良い) |
コスト(11月中) | △ | ◎ | タスク単価 $3.26 vs $1.99 |
コスト(12月以降) | ○ | ○ | タスク単価 $3.26 vs $3.98 |
判断の目安:
- 契約書・議事録・社内規程など大量の文書を読ませるなら Argon
- 既存システムの画面操作や開発を任せるなら Astra
- ChatGPT Businessを全社導入済みなら追加費用なしでAstra、Google Workspace中心ならArgonが導入しやすい
- APIで大量に回す場合は、12月1日の値上げ後の単価で試算し直す
導入前のチェックリスト:
- 使いたい業務が「文書を読む」「画面やコードを動かす」のどちらかを決めた
- 社内で契約中のプラン(ChatGPT Business / Google AI Proなど)で対象モデルが選べるか確認した
- APIで使う場合、月間の利用回数と入出力量から12月1日以降の単価で試算した
- 本記事の5課題など、自社の業務データ10〜20件で試した
- 出力を人が確認する工程(レビュー・テスト環境)を業務フローに入れた
まとめ
どちらか一方が全面的に優れているわけではありません。文書を読む仕事はArgon、画面とコードを動かす仕事はAstraと使い分け、自社の実際の業務データ10〜20件で試してから本採用するのが確実です。
Mojiでは、こうしたモデル選定から業務への組み込みまでをAI受託開発として支援しています。「自社の業務だとどちらが合うか」の検証から、お問い合わせフォームでお気軽にご相談ください。支援内容はサービス紹介でご覧いただけます。
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