Claude CodeとCodexを「交代勤務」させたら、ひとり開発がチーム開発になった|設計→実装→レビューを2つのAIで回す全手順(初心者向け)

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Kohei Uesugi

Kohei Uesugi

株式会社Moji ビジネス開発・コンテンツマーケティング担当 鹿児島県出身。大学2年次から複数のスタートアップで長期インターンを経験し、営業・事業開発と0→1の立ち上げに携わる。2026年9月より、生成AI特化の開発会社・株式会社Mojiに参画。AI開発プロジェクトの事業開発と運営体制づくりを担当しながら、自社メディアのコンテンツ運用をリードしている。

この記事の結論

Claude CodeとCodexは「どちらか」を選ぶものではなく、同じフォルダで交代勤務させると一番効く。設計はClaude Code、実装とテストはCodex、レビューは再びClaude Code。

  • 2つのAIを繋ぐのは特別な連携機能ではなく、同じGitHubリポジトリ(=同じフォルダ)と、共通のルールファイル(AGENTS.md)。どちらも無料で用意できる。
  • 黒い画面(ターミナル)は一度も使わない。VS Codeの拡張機能とボタン操作だけで最後まで進める。
  • 必要な費用は Claude Pro(月20ドル)と ChatGPT Plus(月20ドル)。所要時間は初回セットアップ約40分、以降は1テーマ30分程度。
  • 途中で詰まったら、この記事のURLと自分の画面の文字をAIに貼って聞けば進める。記事と画面が違っていても同じ。

1. なぜ2つのAIを使うのか:同じAIに書かせて同じAIに見せても、同じ見落としをする

Claude CodeもCodexも、日本語で指示すると自分でファイルを作り、コードを書き、動作確認までしてくれるAIエージェントです。どちらか1つで小さなアプリは作れます。それでもMojiが2つを組み合わせるのは、次の3つの理由からです。

1つ目は、得意分野が違うこと。 現場で使い比べた実感として、Claude Codeは「まだ何を作るか決まっていない段階で、質問しながら要件を整理し、設計書として文章にまとめる」工程が得意です。Codexは「決まった仕様どおりに、細かい実装とテストを黙々と進める」工程が得意です。設計と実装で担当を分けると、それぞれの強みだけを使えます。

2つ目は、レビューの独立性。 自分が書いた文章の誤字は自分では見つけにくいのと同じで、AIも自分が書いたコードの穴には気づきにくい傾向があります。書いたAIと別のAIに読ませると、前提を共有していない分、素直に指摘が出ます。「AIにAIの仕事を採点させる」という考え方はエージェント型AIの運用では一般的になりつつあり、この記事の手順はそれを個人のPCで再現するものです。

3つ目は、利用枠の分散。 どちらのサービスも一定時間あたりの利用量に上限があります。工程ごとに使うAIを分けると、片方が上限に達しても作業が止まりません。

この記事でやる流れは、次の4段階です。

① Claude Code で要件整理・設計(何を作るかを文章にする)
        ↓  コミット(セーブ)
② 同じフォルダ(GitHubリポジトリ)を Codex で開く
        ↓
③ Codex で実装・テスト(設計書どおりにコードを書く)
        ↓  コミット(セーブ)
④ Claude Code でレビュー(別のAIの目でチェック)
        ↓  修正 → コミット → GitHubに同期

「同じフォルダを2つのAIが順番に触る」だけなので、難しい連携設定はありません。

Claude CodeとCodexを交代勤務させる4段階の流れ図。①Claude Codeで要件整理・設計、②同じフォルダをCodexで開く、③Codexで実装・テスト、④Claude Codeでレビュー。各工程の区切りでコミットし、最後にGitHubへ同期する
2つのAIを「交代勤務」させる全体像

2つを使う理由を1枚にまとめると、次のようになります。

AIコーディングエージェントを2つ使う3つの理由。01得意分野が違う、02レビューが独立する、03利用枠が分散する。下段は「1つだけ」と「交代勤務」の比較で、別のAIに読ませると書いた本人には出しにくい指摘が入ることを示す
なぜ1つではなく2つ使うのか

2. 準備するもの(費用と所要時間)

準備するもの

費用

用途

Claude Pro

月20ドル(Maxでも可)

(記事執筆時点で 約3,145円)

Claude Codeを使うのに必要。無料プランではClaude Codeは使えない

ChatGPT Plus

月20ドル

(記事執筆時点で 約3,145円)

Codexは無料プランでも使えるが、利用枠が小さいためPlus推奨

Visual Studio Code(VS Code)

無料

2つのAIと会話する場所。コードは書かない

GitHubアカウント

無料

作業フォルダの保管場所。2つのAIが同じ内容を見るための「共有ノート」

GitHub Desktop

無料

GitHubへの保存をボタン操作で行うアプリ。Gitも一緒に入る

所要時間の目安は、セットアップ(第3〜6章)が約40分、実践(第7〜9章)が約30分です。セットアップは次の5ステップです。

セットアップの全体像5ステップ。1 Claude ProとChatGPT Plusに加入、2 VS Codeと拡張機能2つ、3 GitHubとGitHub Desktop、4 フォルダを開いてログイン、5 AGENTS.mdを置く。所要約40分
セットアップの全体像(約40分)

この記事での役割分担を先に表にしておきます。迷ったらここに戻ってください。

工程

担当

やること

人間がすること

要件整理・設計

Claude Code(Planモード)

質問→要件書・設計書を docs/ に作成

設計書を読み、違う箇所を直させる

実装・テスト

Codex(Agentモード)

設計書どおりに index.html を作成し、自分で動作確認

ダブルクリックで動かし、「もっとこうしたい」を伝える

レビュー

Claude Code(Manual/Auto)

設計書と照合して指摘を「重要/軽微」に分ける

指摘が本当か試し、どちらに直させるか決める

保存

人間

工程の区切りごとにコミット、最後に同期

「黒い画面」は使いません。 どちらのAIも、通常はターミナルというコマンド入力画面で動かしますが、VS Codeの拡張機能を使えば、チャット欄に日本語を打つだけで同じことができます。コードが読めなくても問題ありません。VS Codeは「ただのメモ帳」だと思ってください。

先に知っておきたい注意点。 AIは自分でファイルを書き換え、コマンドを実行します。この記事では、AIが勝手に外部へ通信したり、作業フォルダの外を触ったりしない「標準の権限設定」のまま進めます。何をどこまで任せるかの考え方は、AIをどこまで任せるかで詳しく整理しています。

3. Step 1:2つの有料プランに加入する

Claude Pro

  1. ブラウザで https://claude.ai を開き、アカウントを作成またはログインします。
  2. 左下のアカウントメニューから「プランをアップグレード」を選び、Pro を選択します。
  3. クレジットカードで決済を済ませます。

ChatGPT Plus

  1. ブラウザで https://chatgpt.com を開き、アカウントを作成またはログインします。
  2. 「プランをアップグレード」から Plus を選択します。
  3. 決済を済ませます。

偽サイトに注意してください。 決済情報を入力する前に、必ずアドレスバーのURLを確認します。cluade.ai(スペル違い)、claude-ai.com(ハイフン付き)、claude.app(別ドメイン)のような類似サイトや、検索広告の上位に出る偽サイトが実際に存在します。正しいURLは https://claude.ai(Anthropic社)と https://chatgpt.com(OpenAI社)です。迷ったら、それぞれ anthropic.comopenai.com からのリンク経由でアクセスしてください。

すでに加入済みの方は、次のステップへ進んでください。

4. Step 2:VS Codeと拡張機能を2つ入れる

VS Codeのインストール

  1. ブラウザで https://code.visualstudio.com/ を開きます。
  2. OSに合ったインストーラーをダウンロードします(Macなら .dmg、Windowsなら .exe)。
  3. ダブルクリックしてインストールします。画面の指示に従えば完了です。

すでにVS Codeを使っている方は、次へ進んでください。

拡張機能「Claude Code」を入れる

  1. VS Codeを開き、左端のアイコン列(アクティビティバー)から 四角が4つ並んだアイコン(拡張機能)をクリックします。Mac は Cmd+Shift+X、Windows は Ctrl+Shift+X でも開けます。
  2. 検索欄に claude code と入力します。
  3. 発行元が Anthropic の「Claude Code for VS Code」を選び、インストール をクリックします。

拡張機能「Codex」を入れる

  1. 同じ検索欄に codex と入力します。
  2. 発行元が OpenAI の「Codex – OpenAI's coding agent」を選び、インストール をクリックします。

インストール後、左端のアイコン列にClaude Codeのアイコン(火花のようなマーク)とCodexのアイコンが追加されていれば成功です。表示されない場合は、VS Codeを一度閉じて開き直してください。

Windowsの方へ。 Claude CodeとCodexはどちらもWindows 11で問題なく動きます(Windows 10は最新の状態に更新しておいてください)。加えて、後述のGitHub Desktopとは別に Git for Windowshttps://git-scm.com/downloads/win)を入れておくと、Claude Codeがコマンドを実行するときの互換性が上がります。必須ではありませんが、この記事のとおりに進めるなら入れておくのが無難です。

5. Step 3:GitHubに「共有ノート」を作る

2つのAIが同じ内容を見るためには、同じフォルダで作業させる必要があります。そのフォルダをGitHubに置いておくと、「いつ・誰が・何を変えたか」が全部記録され、AIが壊してしまっても1つ前の状態に戻せます。この記事では、ボタン操作だけで済む GitHub Desktop を使います。

GitHubアカウントを作る

  1. ブラウザで https://github.com を開き、「Sign up」からアカウントを作成します(無料)。
  2. メール認証まで済ませます。

GitHub Desktopを入れて、リポジトリ(作業フォルダ)を作る

GitHub Desktopを入れる

  1. https://desktop.github.com/ を開き、「Download for macOS」(Windowsなら「Download for Windows」)をクリックします。
  2. ダウンロードしたファイルを開いてインストールします。Macは .zip を展開してアプリケーションフォルダへ、Windowsはインストーラーの指示に従います。
  3. 起動すると「Welcome to GitHub Desktop」の画面が出るので、Sign in to GitHub.com をクリックします。
  4. ブラウザが開くので、さきほど作ったGitHubアカウントでログインし、「Authorize desktop」を押します。GitHub Desktopに戻ると、名前とメールアドレスの確認画面が出るので Finish を押します。

リポジトリ(作業フォルダ)を作る

ログインが終わると「Let's get started!」という画面になります。ここが出発点です。

  1. 右側のボタンのうち、Create a New Repository on your Local Drive… をクリックします(一番上の青い「Create a Tutorial Repository…」は練習用なので押しません)。メニューの File → New Repository… でも同じ画面が開きます。

    • 2つ目の「Clone a Repository from the Internet…」を押すと「Clone a Repository」という画面が開きますが、これは既にあるリポジトリを取り込む機能です。開いてしまったら Cancel で戻ってください。

  2. 「Create a New Repository」という入力画面が開くので、次のように入力します。
    • Nameai-handoff-demo(半角英数字とハイフンなら何でも構いません)
    • Local Path:そのままでOK。標準では「書類 → GitHub」フォルダの中に作られます
    • Description:空欄でOK
    • Initialize this repository with a READMEチェックを入れる(忘れやすいので注意)
    • Git Ignore、License:「None」のまま
  3. Create Repository をクリックします。
  1. 作成が終わると画面が切り替わり、左上に ai-handoff-demo と表示されます。この時点でPC内にフォルダができ、README を含む最初のコミット(Initial commit)も自動で済んでいます。画面上部、または中央の Publish repository をクリックします。
  1. 確認画面で「Keep this code private」にチェックが入ったままPublish repository を押します。これで、PC内のフォルダと同じ名前のリポジトリが、あなたのGitHubアカウントの中に非公開で作られます。

これで、PCの中の ai-handoff-demo フォルダと、GitHub上の同名リポジトリが繋がりました。以降、このフォルダの中で起きたことは、ボタン1つでGitHubに保存できます。

用語を2つだけ覚える

この記事で出てくるGitの用語は2つだけです。

  • コミット:ゲームのセーブポイントです。「ここまでの状態に名前をつけて記録する」操作。AIに作業させる前後で必ず打ちます。
  • プッシュ(同期):PC内のセーブデータをGitHubにも送る操作。GitHub Desktopでは「Push origin」、VS Codeでは「変更の同期」というボタンです。

6. Step 4:作業フォルダを開いて、2つのAIにログインする

VS Codeでフォルダを開く

  1. VS Codeのメニュー ファイル → フォルダーを開く を選びます。
  2. さきほど作った ai-handoff-demo フォルダを選びます。
  3. 「このフォルダーのファイルの作成者を信頼しますか?」と聞かれたら「はい」を選びます。

Claude Codeにログインする

  1. 左端のアイコン列から Claude Code のアイコン をクリックします。
  2. サイドバーにパネルが開き、初回は Sign in ボタンが表示されます。クリックすると自動でブラウザが開くので、Claude Proのアカウントで認証します。
  3. VS Codeに戻ると、チャット欄が使える状態になっています。

動作確認として、チャット欄に日本語でそのまま話しかけてみましょう。

今日の日付を教えて

日本語で返答が返ってきたら、Claude Codeの準備は完了です。

チャット欄の下に AutoManual といった表示があるはずです。これは「AIがファイルを書き換えるとき、毎回あなたに確認するか」の設定です。この記事の設計工程では、後述の Plan モードを使います。

Codexにログインする

  1. 左端のアイコン列から Codex のアイコン をクリックします。見当たらない場合は、Cmd+Shift+P(Windowsは Ctrl+Shift+P)でコマンドパレットを開き、Codex: Open Codex Sidebar と入力して実行します。
  2. パネルに Sign in with ChatGPT が表示されるので、クリックしてブラウザでChatGPT Plusのアカウントで認証します。
  3. VS Codeに戻り、同じように話しかけてみます。

    ※(「>」がないと別の検索になり、候補が出ません)

    エディタ右上のOpenAIのマークをクリックしても開けます。

このフォルダに何のファイルがある?

「README.md があります」のような返答が返れば完了です。

Codexのチャット欄の下にある 手のマーク(✋) を押すと、「How should Codex actions be approved?(Codexの操作をどう承認するか)」というメニューが開き、3つから選べます。Ask for approval は「作業フォルダの外のファイルを触るときと、インターネットを使うときは必ず確認する」、Approve for me は「危険と判定した操作だけ確認する」、Full access は「インターネットもPC内のどのファイルも制限なし」です。この記事では初期設定の Ask for approval のまま進めます。Full access は使いません。

隣の脳のマーク(🧠)は使うモデルと考える深さの切り替え、その下のノートPCのマークは「このPCで作業する(Local)か、OpenAIのクラウドで作業するか」の切り替えです。どちらも初期設定のままで構いません。

2つのAIの「どこまで任せるか」設定を並べると、次のとおりです。この記事で使うのは、Claude Codeの Plan と Manual、Codexの Ask for approval の3つだけです。

Claude CodeとCodexの権限モード比較表。Claude CodeはPlan・Manual・Auto、CodexはChat・Agent・Agent (Full Access)。この記事ではPlanで設計、Agentで実装、Manualでレビューを使う
2つのAIの「どこまで任せるか」設定

7. Step 5:2つのAIが同じルールを読む「AGENTS.md」を置く

ここが、2つのAIを「チーム」にする一番のポイントです。

連携の仕組み図。中央のGitHubリポジトリにAGENTS.md、docs/requirements.md、docs/design.md、index.htmlがあり、左のClaude Codeと右のCodexが同じフォルダを読み書きする。AGENTS.mdは両方が読む共通ルール
「連携」の正体は、同じフォルダと同じルールファイル

Claude CodeとCodexは、作業フォルダの直下にある AGENTS.md というファイルを、会話を始める前に自動で読みます(Claude Codeは、CLAUDE.md というファイルが無い場合に AGENTS.md を読みます。この記事では CLAUDE.md を作らないので、1ファイルで両方に効きます)。ここに「このプロジェクトの約束事」を書いておくと、どちらのAIに話しかけても同じ前提で動いてくれます。

ファイルは自分で作らず、Claude Codeに作らせます。Claude Codeのチャット欄に、次をそのまま貼り付けてください。

このフォルダの直下に AGENTS.md というファイルを作って。内容は以下。

# プロジェクトの約束事

## このプロジェクトについて
- 個人用の小さなWebアプリを作る練習プロジェクト
- 作業者は非エンジニア。専門用語は必ず一言で補足すること

## 役割分担
- 要件整理と設計:Claude Code(docs/ 配下に文書として残す)
- 実装とテスト:Codex(docs/ の設計書に従う。設計書に無いことは勝手に足さない)
- レビュー:Claude Code(実装後に docs/ の設計書と照合する)

## 技術のルール
- ファイルは index.html 1つに、HTML / CSS / JavaScript をすべて書く
- 外部のライブラリやサービスは使わない(ダブルクリックだけで動く状態にする)
- データはブラウザの localStorage に保存する
- 日本語のUIにする

## 作業のルール
- 作業を始める前に、これから何をするかを3行以内で説明する
- 作業が終わったら、変えたファイルと動作確認の方法を書く
- 分からないことは推測せず質問する

Claude Codeが「AGENTS.md を作成しました」と返したら、左のファイル一覧に AGENTS.md が現れているはずです。

ここで最初のコミットを打つ

  1. 左端のアイコン列から ソース管理(枝分かれしたアイコン)をクリックします。
  2. 「変更」に AGENTS.md が並んでいます。上部のメッセージ欄に AGENTS.md を追加 と入力します。
  3. コミット ボタンを押します。「ステージされた変更がありません。すべての変更をステージしてコミットしますか?」と聞かれたら「はい」を選びます。
  4. ボタンが 変更の同期 に変わるので、押します。これでGitHubにも保存されました。

メッセージを空のまま コミット を押すと、真ん中に COMMIT_EDITMSG という編集画面が開きます。壊れたわけではなく、「メッセージを書いてください」という意味です。その1行目に AGENTS.md を追加 と書いて、右下の Commit を押せば同じ結果になります。

以降、AIの作業が一区切りつくたびに、この「メッセージを書く → コミット → 変更の同期」を繰り返します。慣れると10秒で終わります。この記事の中でコミットを打つのは、次の4回です。

コミットをセーブポイントに例えたタイムライン。AGENTS.md追加、設計書作成、経費メモアプリ実装、レビュー指摘修正の4回コミットする。VS Codeのソース管理パネルでの操作手順と、壊れたときの戻し方
コミット=ゲームのセーブポイント

ここまでで準備は完了です。 ここから先は、AGENTS.md の書き方ひとつで、AIの仕事の質が大きく変わります。「自社の業務に合わせたルールファイルをどう書けばいいか」「チームで同じルールを共有したい」といったご相談は、Mojiが現場の実例をもとにお手伝いしています。
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8. 実践①:Claude Codeで要件整理・設計をする

題材は「日々の経費をメモしてCSVで書き出せる、自分専用の経費メモアプリ」にします。仕様が小さく、動いたかどうかがすぐ分かるからです。

Planモードに切り替える

Claude Codeのチャット欄の下にある権限モードの表示(Auto や Manual)をクリックし、Plan を選びます。Planモードでは、Claude Codeはコードを書かず、「何をするか」を文書にして提案し、あなたの承認を待ちます。設計工程にはこのモードが向いています。

設計を依頼する

次をそのまま貼り付けます。会社の経費精算など、自分の業務に近い題材に置き換えても構いません。具体的に書くほど、それらしい設計になります。

自分専用の「経費メモアプリ」を作りたい。要件を整理して、設計書を作って。

やりたいこと:
- 日付、金額、カテゴリ(交通費・飲食・消耗品・その他)、メモを入力して登録する
- 登録した一覧を新しい順に表示する。削除もできる
- 月ごとの合計金額を表示する
- 一覧をCSVでダウンロードできる

進め方:
1. 不明点があれば先に質問して(3つまで)
2. 質問への回答を踏まえて、docs/requirements.md(要件)と docs/design.md(設計)を作って
3. design.md には、画面の構成、データの持ち方、関数の一覧と役割、動作確認の手順を書いて
4. コードはまだ書かないで

送信前に、入力欄の上に .gitattributes などのファイル名が付いていたら、×で外してから送ってください。VS Codeで開いているファイルが自動で「参考資料」として添付されることがあり、外しておくと余計な情報が混ざりません。

Claude Codeは、たとえば「金額は税込ですか」「カテゴリは追加できるようにしますか」のような質問を返してきます。分かる範囲で答えてください。分からなければ「おまかせで」でも大丈夫です。

回答すると、Claude Codeが設計の内容を提案してきます。VS Codeでは提案が文書として開き、気になる箇所にコメントを書き込めます。内容に納得したら承認します。承認すると docs/requirements.mddocs/design.md が作られます。

設計書を読む(ここが人間の仕事)

docs/design.md を開いて、ざっと目を通してください。コードは1行も出てきません。「入力欄が4つ、登録ボタン、一覧表、月別合計、CSVボタン」といった日本語の説明と、「保存するデータの形」「関数の一覧」が並んでいるはずです。

読んで「違う」と思った箇所は、この段階で直させます。

月ごとの合計は、今月だけでなく過去の月も一覧で見たい。design.md を直して。

実装前の修正は一言で済みますが、実装後の修正は何倍も手間がかかります。設計書を読む5分が、後の30分を節約します。

コミットする

ソース管理パネルで、メッセージ 設計書を作成 → コミット → 変更の同期。これで「設計が終わった状態」がセーブされました。

9. 実践②:同じフォルダをCodexで開いて、実装・テストする

ここでAIを交代します。Claude Codeのパネルは閉じて構いません(開いたままでも問題ありません)。

Codexに実装を依頼する

左端のアイコン列から Codex のアイコン をクリックし、モードが Agent になっていることを確認して、次を貼り付けます。

docs/requirements.md と docs/design.md を読んで、そのとおりに index.html を実装して。

- AGENTS.md の技術ルールを守ること(index.html 1ファイル、外部ライブラリなし、localStorage、日本語UI)
- design.md に書いてある関数の一覧と役割を、そのまま実装すること
- 設計書に無い機能は追加しないこと。必要だと思ったら、実装せずに理由と一緒に提案だけして
- 実装が終わったら、design.md の「動作確認の手順」に沿って自分で確認し、結果を報告して

Codexは、最初に「これから index.html を作成します」のように予定を述べてから作業を始めます(AGENTS.md の「作業を始める前に3行で説明する」が効いています)。数分で index.html が作られ、「動作確認の結果」が報告されます。

自分でも動かしてみる

Codexの報告をよく読むと「ブラウザの安全制限でローカルファイルを開く操作が拒否されたため、実画面は未確認」と書いてあるはずです。これは Ask for approval が効いて、Codexが勝手にブラウザを開かなかったということです。だからここからは人間の仕事です。

  1. 左のファイル一覧で index.html を右クリックし、Reveal in Finder(日本語UIでは「Finderで表示」、Windowsは「エクスプローラーで表示」)を選びます。見当たらなければ、Finderで「書類 → GitHub → ai-handoff-demo」を直接開いても同じです。
  2. 出てきた index.htmlダブルクリック します。ブラウザで経費メモアプリが開きます。
    • VS Codeやテキストエディタで開いてしまう場合は、右クリック → このアプリケーションで開く→ Chrome(または Safari)を選びます。先にChromeを開いておいて、そこへファイルをドラッグしても開けます。
  3. 実際に1件登録し、一覧に出るか、月別合計に反映されるか、削除できるか、CSVボタンでファイルが落ちてくるかを確認します。

Mojiで実際にこの手順を通したところ、Codexの実装は2分36秒、設計書どおりの4項目・月別合計・一覧・CSVがすべて入った状態で、そのままダブルクリックで動きました。

AGENTS.md で「外部サービスを使わない」と決めてあるので、サーバーの準備は不要です。ダブルクリックで動きます。

直したいところをCodexに伝える

動かしてみると、必ず「もっとこうしたい」が出てきます。それをそのままCodexに話しかけます。

金額の入力欄に数字以外を入れても登録できてしまう。数字だけ受け付けるようにして。
スマホで見たときに表が横にはみ出す。スマホでも見やすくして。

仕様書を書くのではなく、隣の人に相談するように伝えるのがコツです。「もっと余白を広く」「ボタンはこの色で」のような感覚的な指示でも通ります。

コミットする

動く状態になったら、ソース管理パネルで 経費メモアプリを実装コミット。ここでは 「変更の同期」はまだ押さない でください。次の工程のレビューコマンドは「GitHubにまだ送っていない変更」を対象に読むので、同期を後回しにしたほうが、Codexが書いた分だけをきれいにレビューさせられます。

コミットだけは必ずしてください。 次の工程で別のAIがコードを触ります。もし壊れても、このセーブポイントに戻れます。

10. 実践③:Claude Codeに戻して、レビューさせる

ここが「2つ使う」意味が一番出る場面です。Codexが書いたコードを、書いていないClaude Codeに読ませます。

AIにAIの仕事をレビューさせる流れ。Codexの実装をClaude Codeがレビューし、人間が指摘を確かめ、重要な指摘はCodexに、軽微な指摘はClaude Codeに直させる。直したらコミットしてGitHubに同期
AIにAIの仕事をレビューさせる流れ

レビューを依頼する

左端のアイコン列から Claude Code のアイコン をクリックします。権限モードは AutoManual に戻しておきます(Planのままだと修正まで進みません)。

チャット欄に、次のいずれかを入力します。

方法A:レビュー専用コマンドを使う

/code-review

Claude Codeには、「GitHubにまだ送っていないコミット」と「まだコミットしていない変更」を自動で読んでレビューする機能があります。前の章で同期を押していなければ、Codexの実装分がそのまま対象になります。裏で別の担当が読み込むので、結果が返るまで少し待ちます。バグの可能性がある箇所と、無駄な書き方の箇所が、ファイル名と行数つきで報告されます。

方法B:日本語で観点を指定する

Codex が実装した index.html を、docs/design.md と照らし合わせてレビューして。

観点:
1. 設計書に書いてある機能が全部入っているか。抜けや、勝手に追加された機能はないか
2. 入力値のチェック漏れ(空欄、マイナスの金額、未来の日付など)
3. localStorage のデータが壊れたときにアプリが固まらないか
4. 非エンジニアが1年後に読んでも意味が分かるコメントになっているか

指摘は「重要(直さないと困る)」「軽微(余裕があれば)」に分けて。まだ直さないで。

方法Bのほうが、初心者には結果が読みやすいはずです。「設計書との照合」という観点は、書いた本人(Codex)には出しにくい視点です。

指摘を直す:どちらに直させるか

指摘が出たら、直し方は2通りあります。

  • 重要な指摘が多いとき:指摘の文章をコピーして、Codexに貼り付けて直させる(「レビューで以下の指摘が出た。設計書に従って直して」)。実装の担当を変えないほうが、コードの書き方が揃います。
  • 軽微な指摘が数件のとき:そのままClaude Codeに「重要の指摘だけ直して」と頼む。手早く済みます。

どちらの場合も、直したら自分でダブルクリックして動作確認し、コミット → 変更の同期をします。

「AIがAIを採点する」ときの注意

レビュー結果は、そのまま信じず「本当にそうか」を一度は自分で試してください。たとえば「マイナスの金額が登録できてしまう」と指摘されたら、実際にマイナスを入れてみる。指摘が正しければ直し、間違っていれば「それは設計どおり」と返します。AIによる評価は便利ですが、評価する側のAIも間違えます。この点はAIの評価LLM as a Judgeの記事で整理しているとおりで、最後に判断するのは人間です。

11. ここまでの気づき:連携の正体は「同じフォルダ」と「同じルール」

ここまでで、Claude Code → Codex → Claude Code の交代勤務を1周しました。振り返ると、やったことは3つだけです。

  1. 同じフォルダ(GitHubリポジトリ)を、2つのAIで順番に開いた
  2. AGENTS.md に役割分担とルールを書き、両方に読ませた
  3. 工程の区切りごとにコミットして、いつでも戻れるようにした

特別な「連携機能」は1つも使っていません。逆に言えば、この3つさえ守れば、Codexの代わりに別のAIを入れても、Claude Codeの代わりに別のAIを入れても、同じ流れで回ります。

そして、AIに任せなかった「人間の仕事」は3か所だけでした。合計15分ほどですが、ここを飛ばすと「動いているように見えるだけ」のものができます。

AIに任せない人間の仕事3か所。設計後に設計書を読む、実装後に自分で動かす、レビュー後に指摘を確かめる。各5分の確認が後の数時間を守る
AIに任せない「人間の仕事」は3か所だけ

この記事で使ったプロンプトを、工程ごとに一覧にしておきます。題材を変えるときは、太字の部分だけ差し替えてください。

工程

話しかける相手

プロンプトの骨格

ルール作成

Claude Code

「AGENTS.md を作って。内容は以下」+役割分担・技術ルール・作業ルール

設計

Claude Code(Plan)

〇〇アプリを作りたい。要件を整理して設計書を作って。やりたいこと:。不明点は先に質問、コードはまだ書かないで」

設計の修正

Claude Code(Plan)

〇〇は**△△**にしたい。design.md を直して」

実装

Codex(Agent)

「docs/ の要件書と設計書を読んで、そのとおりに実装して。AGENTS.md のルールを守り、設計書に無い機能は足さない。終わったら自分で動作確認して報告」

実装の修正

Codex(Agent)

〇〇が**△△になってしまう。□□**するようにして」

レビュー

Claude Code

/code-review、または「index.html を design.md と照合してレビューして。観点:。重要/軽微に分けて、まだ直さないで」

修正

Codex または Claude Code

「レビューで以下の指摘が出た。設計書に従って直して」+指摘の貼り付け

次に何をするか。 今日の経費メモアプリの項目を、自分の業務のものに置き換えてみてください。請求書のチェックリスト、備品の貸出台帳、面談メモ。「エンジニアに頼むほどではないが、Excelでは面倒」な作業が題材として最適です。どの業務から手をつけるかは、生成AI導入前の業務棚卸しの考え方が使えます。

12. つまずきやすいポイントと対処

ログイン画面が何度も出る(Claude Code) 一度VS Codeを閉じて開き直してください。それでも出る場合は、コマンドパレット(Cmd+Shift+P / Ctrl+Shift+P)で Developer: Reload Window を実行します。

「利用上限に達しました」と出る どちらのサービスも、一定時間ごとの利用量に上限があります。上限に達したら、もう片方のAIで別の工程を進めるか、表示された時刻まで待ちます。この記事の分担であれば、片方が止まっても作業全体は止まりません。

Codexが「承認が必要です」と何度も聞いてくる Agentモードでは、作業フォルダの外に触るときやネットワークを使うときに確認が入ります。今回の題材では外部アクセスは不要なので、聞かれたら内容を読んで、フォルダ外なら「拒否」、フォルダ内の作業なら「許可」で問題ありません。Full Accessに切り替えて確認を消すのは、内容が分かるようになってからにしてください。

AIが設計書に無い機能を勝手に足す AGENTS.md に「設計書に無いことは足さない」と書いてあるか確認し、それでも足すなら「設計書に無い機能を追加している。design.md に無いものは削除して」と指示します。ルールファイルは、破られたときに書き足すと効果が上がります。

Windowsでコマンド実行がうまくいかない 第4章で触れた Git for Windows を入れてください。Claude Codeがコマンドを実行するときの互換性が上がります。それでも改善しない場合は、VS Codeを管理者権限ではなく通常の権限で起動し直してください。

壊れて動かなくなった ソース管理パネル上部の「…」から「変更を破棄」を選ぶと、最後のコミットの状態に戻ります。工程ごとにコミットを打っていれば、失うのは直近の作業だけです。

13. よくある質問

Q. Claude CodeとCodex、片方だけではだめですか? 片方だけでも動くものは作れます。2つに分けるメリットは、レビューの独立性と利用枠の分散です。まず片方で慣れてから、レビュー工程だけもう片方を足す、という順でも構いません。

Q. 役割を逆にしてもいいですか? 問題ありません。「設計はCodex、実装はClaude Code」でも同じ手順で回ります。この記事の分担は、Mojiの現場での使い勝手に基づくもので、絶対ではありません。同じ題材で分担を入れ替えて、出来上がりを比べてみるのも面白い検証になります。

Q. GitHubは必須ですか? 最小構成なら、PC内のフォルダだけでも2つのAIは同じファイルを見られます。ただし「戻れる」「記録が残る」「別のPCでも続きができる」というGitHubの利点は、AIに作業させるときほど効きます。慣れないうちこそ入れておくことを勧めます。

Q. AGENTS.md と CLAUDE.md の違いは? CLAUDE.md はClaude Code専用のルールファイル、AGENTS.md はCodexを含む多くのAIコーディングツールが読む共通形式です。Claude Codeは CLAUDE.md が無いときに AGENTS.md を読むので、この記事では AGENTS.md だけを置いています(この動作は2026年に入ってから追加されたものです。拡張機能は自動更新されますが、うまく読まれない場合は拡張機能を最新にしてください)。両方置きたい場合は、CLAUDE.md に @AGENTS.md と1行書くと、Claude Codeが AGENTS.md の内容を取り込みます。

Q. AIの言うことは正しいですか? 正しいとは限りません。AIは事実と違う内容を自信ありげに書くことがあります(ハルシネーション)。この記事の手順で「設計書を人間が読む」「動作を自分で試す」「レビュー結果を自分で確かめる」の3か所を人間の仕事として残しているのは、そのためです。

Q. 会社の業務で使うには何が足りませんか? この記事のアプリは自分のPCのブラウザだけで動き、データもそのブラウザにしか残りません。複数人で使う、スマホから使う、データを守る、といった要件が入ると、設計の前提から変わります。「動いた」の先の判断は、次章を参照してください。

14. まとめ:動くものはできた。その先の判断は人間の仕事

この記事では、Claude CodeとCodexを同じGitHubリポジトリで交代勤務させ、設計・実装・レビューを2つのAIで回す手順を、VS Codeのインストールから追いました。連携の正体は「同じフォルダ」「同じルールファイル」「工程ごとのコミット」の3つで、特別な機能は使っていません。

一方で、動くものができた瞬間がゴールではありません。画面では動いて見えても裏に穴が空いていることはありますし、社内10人で使うものと全国の顧客が使うものは土台から違います。どこまで伸ばす前提で作るか、どうやって世に出すか、この作りで3年後も後悔しないか。これらはAIとの対話だけでは言葉にならず、人と人の対話の中で初めて決まる問いです。

Mojiは、AI受託開発の現場でClaude CodeやCodexを日常的に使いながら、「AIで作った試作を、業務で使える形にする」ところまでを一貫して支援しています。今日作った経費メモアプリを社内ツールに育てたい、自分の業務に合った題材で同じ手順を一緒に回してほしい、といった段階からご相談ください。


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「Claude CodeとCodexをどう使い分けるか」「AIが書いたコードをどこまで信用してよいか」「試作から本番までに何が必要か」は、業務の内容と規模で答えが変わります。Mojiでは、ルールファイル(AGENTS.md)の設計、レビュー観点の整備、本番化までの段取りを、現場の実感をもとにお手伝いしています。

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