SAP-RPT-TSとは?SAP IBPでの位置付けと需要予測PoCの進め方

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要件定義からリリースまで、Mojiがワンチームで伴走します。
SAP-RPT-TSは、SAPが2026年10月27日に発表した、時系列化された業務指標の予測を支援する新しいモデルです。SAPは、SAP Integrated Business Planning(SAP IBP)における主要な予測ユースケースで、時点にひも付く業務指標の値を予測するためのモデルとして位置付けています。また、発表文ではカスタム機械学習を必要としないと説明されています。SAPの2026年10月27日付発表
ただし、個別企業での利用可否、SAP IBPとの具体的な接続設定、API仕様、対応リージョン、料金、処理量の課金条件は、この記事の確認対象とした公開資料だけでは確定できません。SAP-RPT-TSを導入候補として検討する際は、製品名だけで採否を決めず、既存の予測方法と同じデータ・同じ期間で比較し、予測値を実際の計画業務へつなげられるかを検証することが重要です。
SAP-RPT-TSで公開情報から確認できること
SAPの発表で確認できるのは、SAP-RPT-TSがtime-indexed business metrics(時点にひも付く業務指標)を予測するモデルであり、SAP IBPを使う主要な予測ユースケースを対象とする、という位置付けです。需要、売上、出荷量、在庫消費量など、一定の時間単位で記録された業務データを扱う場面が、検討対象になり得ます。SAPの2026年10月27日付発表
一方で、公開発表だけから、入力できる列の種類、履歴件数の上限、予測可能な期間、予測区間・分位点の出力、個別学習の細かな要否、SAP IBP画面への標準組み込み方式までは断定できません。本記事では、公開本文を照合できなかった技術仕様や課金条件を記載しません。
確認項目 | 2026年10月27日時点で公開情報から確認できる内容 | 導入前に個別確認する内容 |
|---|---|---|
モデルの位置付け | 時系列化された業務指標の予測を支援する新モデル | 対象となるデータ形式、予測粒度、出力形式 |
SAP IBPとの関係 | SAP IBPにおける主要な予測ユースケース向けと説明されている | 計画領域、キーフィギュア、既存予測との接続方法 |
カスタム機械学習 | SAPはカスタム機械学習を必要としないと説明している | 自社データでの精度検証、データ整備、業務ルールの設計 |
提供・調達条件 | この記事で確認した発表本文には詳細を確認できない | 契約、リージョン、権限、費用、サポート範囲 |
SAP IBPとの関係:既存の需要計画機能と比較して考える
SAP IBP for Demandは、短期・中期・長期の予測を扱う需要計画機能です。SAP Learningでは、中期予測に統計手法、協業、業務上の入力を用いること、短期予測ではDemand Sensingを用いること、POSデータ、流通在庫の引き出し、注文、出荷などの複数シグナルを使えることが説明されています。SAP Learning:Overview of Demand Planning
このため、SAP-RPT-TSを検討する際は「SAP IBPを置き換えるか」という二択ではなく、現在のSAP IBP上の予測・担当者による調整・業務ルールと比べて、どの対象群で予測や判断が改善するかを確認する方が実務的です。公開情報だけから、既存の統計予測やDemand SensingがSAP-RPT-TSへ自動的に置き換わるとは判断できません。
SAP Learningは、将来予測の作成には過去のデータ、通常は一定期間の販売履歴が必要であり、欠損値、外れ値、販促による販売増などを確認・前処理する流れを説明しています。したがって、モデルの検討と並行して、実績の定義や例外データの扱いを確認する必要があります。SAP Learning:Data Cleansing and Pre-Processing
PoCの前に決めるべき対象業務
以下は、公開されたSAPの位置付けと需要予測業務の特性を踏まえたMojiによる実務上の提案です。SAPの公式導入手順や、SAP-RPT-TSで保証される成果を示すものではありません。
最初から全SKU・全拠点・全期間を対象にすると、予測差の理由を追いにくくなります。PoCでは、予測対象、時間粒度、予測期間、予測を使う意思決定を1つずつ定めます。
- 対象値:商品群ごとの需要量、地域別の売上、部品の出庫量など
- 時間粒度:日次、週次、月次など
- 予測期間:翌週、4週先、翌月、四半期など
- 比較対象:現行のSAP IBP予測、既存の統計モデル、担当者調整後の計画など
- 利用先:発注案、生産計画案、在庫計画、予算見通し、担当者が確認する例外リストなど
開始対象は、予測結果をただちに外部へ確定送信する業務よりも、計画担当者が確認・修正できる業務に限定すると、誤差の原因や運用上の課題を確認しやすくなります。
需要予測PoCの進め方:公式情報とMojiの提案を分ける
公式情報として確認できる点:SAP IBPの需要計画では、過去の販売履歴を基にした予測、前処理、統計モデル、予測誤差の確認が扱われています。SAP Learning:Overview of Demand Planning
Mojiによる実務上の提案:PoCは、デモで予測値を見る場ではなく、本番化・限定継続・中止を判断するための比較実験として設計します。次の5段階で進めると、精度、業務効果、運用負荷を分けて確認できます。
Step 1:評価対象と正解データを固定する
対象SKU、拠点、実績の補正ルール、予測期間、除外する異常期間を開始前に記録します。途中で定義を変える場合は、変更前後の結果を混ぜず、別条件として管理します。
販促、欠品、終売、供給制約などの扱いも事前に決めます。予測時点には確定していない情報を入力へ含めると、実運用より良い結果に見えるおそれがあります。評価では、その予測起点で実際に利用可能だった情報だけを使います。
Step 2:現行方式と同じ時点で比較する
複数の過去時点を予測起点として取り、それぞれの時点までに存在したデータだけで予測を作成します。その後に判明した実績と比べることで、現行方式と同じ条件で比較できます。
- 過去の予測起点を複数選ぶ
- 各起点より未来の実績を評価用として分ける
- 現行方式と候補方式の予測期間をそろえる
- SKU、拠点、需要パターン、予測期間ごとに結果を記録する
- 平均誤差だけでなく、大きく外れたケースと業務影響を確認する
Step 3:精度指標を業務判断と対応させる
評価指標は一律ではありません。平均的な外れを抑えたい業務、大きな外れを重く見る業務、欠品リスクを管理したい業務では、確認すべき値が異なります。指標を選ぶ前に、「何を避けたいか」を業務側と決めてください。
見たいこと | 評価の例 | 確認する問い |
|---|---|---|
平均的な予測差 | MAE、WAPEなど | 重要な商品群・拠点でも改善または許容範囲か |
大きな外れ | 大幅な過大・過小予測の件数、RMSEなど | 少数の大口案件だけで悪化していないか |
供給・在庫への影響 | 欠品件数、在庫日数、緊急発注、廃棄など | 予測差の変化が業務KPIへどう結び付くか |
担当者の運用負荷 | 確認時間、修正回数、例外処理件数 | 予測を増やすことで確認工数が過大にならないか |
評価指標の設定、評価データの作り方、継続的な品質確認は、AIの評価とは?評価指標や評価方法、その費用についても参照してください。
Step 4:予測値をどう使うかを試す
予測精度が改善しても、計画担当者が確認できない、計画サイクルに間に合わない、例外時の戻し先が決まっていない場合は、運用へつながりません。PoCの終盤では、予測値をどの画面・帳票で確認し、誰が修正・承認し、どの値を計画へ反映するかを試します。
- 予測作成のタイミングが、業務上の締め時刻に間に合うか
- 前回予測との差分や例外を担当者が確認できるか
- 異常な出力やデータ欠損が起きた場合に、どの予測へ戻すか
- データ抽出、入力、結果保存、権限管理の担当が決まっているか
- モデル・データ定義・業務ルールを変えた場合の再評価条件があるか
Step 5:継続・拡大・中止を判断する
AI PoCの開始前に、合格条件だけでなく、保留・中止の条件、判断責任者、次の段階へ進む条件を決める方法は、AI PoCを本番化する進め方で詳しく解説しています。
PoCの合否基準テンプレート
以下はMojiによる提案テンプレートです。数値の閾値は、既存実績、対象業務、欠品・在庫の許容度、計画サイクルに合わせて事前に設定してください。
項目 | 開始前に決める内容 | 判断例 |
|---|---|---|
比較条件 | 比較対象、対象商品群・拠点、予測期間、実績定義 | 同じ起点・同じ実績で比較できる |
品質 | 重要群ごとの許容誤差、大きな過大・過小予測の扱い | 平均値だけでなく重要群でも基準を満たす |
業務効果 | 欠品、在庫、緊急対応、計画修正工数のうち確認するKPI | 継続する理由を業務指標で説明できる |
運用 | 更新頻度、確認者、例外処理、停止条件 | 担当者と責任分界が明確である |
技術・契約 | 接続方式、権限、リージョン、サポート、費用見積もり | 本番候補の条件をSAPまたは導入パートナーへ確認済みである |
料金・利用条件でSAPへ確認すること
2026年10月27日に確認した公開発表では、SAP-RPT-TSの一律料金、提供リージョン、SAP IBPとの標準接続方式、API利用条件は確認できませんでした。調達判断では、推測で費用や提供条件を置かず、SAPまたは導入パートナーへ次を確認してください。
- 自社テナントと対象リージョンでSAP-RPT-TSを利用できるか
- 利用に必要なSAP製品、サービスプラン、権限、契約条件は何か
- SAP IBPの計画領域・キーフィギュアとつなぐ推奨構成は何か
- データ抽出、推論、保存、監査ログの責任分界はどうなるか
- PoCと本番で発生し得る費用の見積もり単位は何か
- 障害時のサポート範囲、データ保持、セキュリティ条件は何か
まとめ:検証するのはモデル名ではなく、予測から意思決定までの流れ
SAP-RPT-TSは、SAPが2026年10月27日に発表した、時系列化された業務指標の予測を支援するモデルです。SAPは、SAP IBPにおける主要な予測ユースケース向けであり、カスタム機械学習を必要としないと位置付けています。SAPの2026年10月27日付発表
一方、公開情報だけでは、具体的な接続方式、提供条件、料金、技術的な制約までは確定できません。まずは対象業務を限定し、既存のSAP IBP予測または現行方式と同じ条件で比較してください。そのうえで、誤差、在庫・欠品などの業務影響、担当者の確認負荷、契約・費用を一緒に確認することが、導入判断につながります。