Moveworksとは?社内IT・人事を支援するAIとServiceNowとの関係

AI脆弱性診断
そのAIシステム、従来の診断だけで十分ですか?
外部・内部の弱点に加え、プロンプトインジェクションや過剰な権限などAI固有の攻撃面も診断します。
Moveworks(ムーブワークス)とは、従業員がチャットやWebで社内IT・人事・総務などへ相談し、情報を探すだけでなく、接続済みの業務システムで処理を進める入口となるAIアシスタント基盤です。たとえば「このソフトを使いたい」「休暇制度を確認したい」「申請の状況を知りたい」といった依頼を受け、設定された検索元・プラグイン・ワークフローに応じて、回答、申請、チケット起票、担当者への引き継ぎなどへつなげます。Moveworksは自社のAI Assistantを、アプリ横断の検索とエンドツーエンドのタスク自動化を組み合わせる製品として案内しています。Moveworks公式:AI Assistant
本記事は、2026年10月27日に公開情報を確認して編集しています。本記事で確認した公開ページには一律の料金表を確認できなかったため、料金は記載しません。利用できる連携、実行できる操作、日本語を含む言語対応、管理者設定や契約条件は、導入時にデモと契約資料で確認してください。
Moveworksの役割は「社内の相談を処理へつなぐ窓口」
Moveworksを単なる社内検索と捉えると、用途を狭く見積もることがあります。従業員の視点では、主な流れは次の3段階です。
- 相談する:Webや、組織が設定したチャット・社内ポータルなどから依頼する。
- 適切な情報・システムへつなぐ:権限を踏まえて社内情報を検索し、対応可能なプラグインやワークフローを選ぶ。
- 結果または状態を返す:回答、引用、申請・チケットの作成結果、進行状況、必要に応じた担当者への引き継ぎを返す。
Moveworksの公式資料では、AI Assistantが既存アプリをまたいで検索し、タスク自動化へつなぐことを案内しています。また、ServiceNow向けの設定ガイドでは、Enterprise SearchがServiceNow側で定義されたナレッジ記事の権限を踏まえて利用される構成を説明しています。Moveworks公式:AI Assistant/Moveworks公式:Configure ServiceNow Knowledge Search
こうした「検索して終わりではなく、必要なら業務処理にもつなぐ」設計は、AIエージェントとは?で解説している、ツール利用を含むAIエージェントの考え方に近いものです。ただし、実行範囲はAIの能力だけで決まらず、接続先、付与した権限、承認フロー、管理者の設定によって変わります。
架空の例:ソフトウェア利用申請はどう進むか
ここでは架空の例として、従業員が「分析ツールXを使いたい」と依頼する場面を考えます。
- 従業員がチャットで目的と利用したいツールを伝える。
- アシスタントが、社内ポリシー、申請フォーム、利用条件を検索して案内する。
- 組織が該当する申請・権限付与の連携を設定している場合、必要項目を確認して申請やアクセス要求を作成する。
- 承認が必要なら、設定済みの承認経路で処理する。自動付与の可否は、利用者属性やルールに左右される。
- 従業員へ、完了・保留・追加情報の要否などの状態を返す。
これは製品の動きを単純化した架空の流れであり、すべての環境でソフトウェア権限が自動付与されるという意味ではありません。Moveworksは、アクセスのリセットやツールのプロビジョニングを利用例として挙げていますが、実際に何を実行できるかは組織が接続・設定した範囲に限られます。Moveworks公式:AI Assistant
ServiceNowとの関係:買収は完了し、EmployeeWorksとして統合を進めている
ServiceNowは2025年12月15日にMoveworksの買収完了を発表しました。したがって、「買収予定」や「買収を発表した段階」と説明するのは正確ではありません。両社は、Moveworksの会話型AI・エンタープライズ検索と、ServiceNowのワークフローを組み合わせる方針を示しています。ServiceNow公式:Moveworks買収完了の発表
2026年2月26日にはServiceNow EmployeeWorksが発表され、Moveworksの会話型AIとエンタープライズ検索を、ServiceNowの統合ポータル・自律型ワークフローと組み合わせる位置付けが示されました。現行のMoveworks設定ガイドでは、EmployeeWorks Web Appを、ServiceNowインスタンス上でMoveworks AI Assistantを従業員へ提供するWeb体験として説明しています。利用者がナレッジ検索、フォーム送信、チケット操作を行うには、ServiceNow接続に加え、検索・フォーム・チケットの設定が必要です。Moveworks公式:ServiceNow EmployeeWorksの発表/Moveworks公式:Configure EmployeeWorks Web App
EmployeeWorks Web Appは、設定済みのMoveworksプラットフォームの上で提供される画面であり、単独で完結する製品ではありません。公式ガイドでは、事前条件としてMoveworksライセンス、対象リリースに応じたServiceNowのバージョンおよびパッチ、ServiceNow接続を挙げています。また、検索・フォーム・チケットの設定がなければ、利用者はそれぞれの機能を利用できません。したがって、「すべてのServiceNow契約にMoveworks機能が自動で付く」「すべての連携が無料ですぐ使える」とは判断できません。対象製品、ライセンス、実装範囲、管理者設定を個別に確認しましょう。Moveworks公式:EmployeeWorks Web Appの要件
導入前に確認するチェックリスト
以下は、Mojiによる導入検討のための提案です。製品名だけで比較せず、最初に「どの依頼を、どこまで完了扱いにするか」を具体化します。
- 対象業務:IT問い合わせ、人事制度案内、申請状況照会などから、件数が多く手順が整理されているものを選ぶ。
- 正とする情報源:規程、ナレッジ、申請フォーム、チケット、ID管理のうち、どのシステムを参照・更新してよいか決める。
- 権限と承認:検索、申請作成、権限変更、外部通知を分け、誰が承認するかを定義する。
- 完了条件:回答を返せばよいのか、チケット番号の発行、承認済み、権限反映まで必要かを業務別に決める。
- 評価方法:実際の問い合わせを匿名化して用意し、正しい参照先、処理成功、誤った実行、人への引き継ぎを確認する。
複数の情報源を調べ、必要に応じてツールを呼び出す構成を検討する場合は、Agentic RAG 導入ガイドも参考になります。なお、比較結果はモデル、接続する業務システム、入力データの品質、評価指標、許容できる誤処理の範囲で変わります。
まとめ
Moveworksは、従業員の自然言語の相談を受け、社内検索、申請、チケット、アクセス要求などへつなぐAIアシスタント基盤です。ServiceNowによる買収は2025年12月15日に完了しており、現在はServiceNow EmployeeWorksを含む形で、会話型の従業員窓口と業務ワークフローの統合が進められています。検討時は「何を答えられるか」だけでなく、接続先、権限、承認、完了条件を業務単位で確認することが重要です。