Deep Research(ディープリサーチ)とは?仕組み・使い方・AI調査を検証する手順
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Tsubasa Hiroe
1992年生まれ鳥取県出身、高専にてソフトウェア開発を学ぶ⚙️ レシピアプリや通話アプリなどのMVP開発を担当し、合計1000万DLを突破。 その経験を経てMojiを創業、生成AIやその周辺システムの開発マネジメントを行っている。 趣味はキャンプと二郎、筋トレ(ベンチ100kg)。
Deep Research(ディープリサーチ)は、複雑な問いに対して、AIが複数の情報源を調べ、比較・整理してレポートを作る機能です。
「Deep Research」はサービスごとに機能名や実装が異なります。本記事では、複数ステップで情報を集め、分析し、構造化した調査結果を作るAI機能を、実務上まとめてDeep Researchと呼びます。参照できる情報源、調査計画を編集できるか、引用・ソースリンクの表示、利用条件はサービスごとに確認が必要です。
通常の検索は、特定の事実、公式ページ、直近の発表などをすばやく確認したいときに向きます。一方、ChatGPTのDeep Researchは、複数ソースの分析と統合を必要とする複雑な問いに使う機能として案内されています。OpenAI公式の解説
Deep Researchの出力は、そのまま意思決定や公開に使うための確定情報ではありません。論点、根拠候補、未確認事項を整理するための材料として扱い、影響の大きい主張は人が原典まで確認してください。
本記事は、2026年9月18日に各社の公式情報を確認して編集しています。利用可否、利用上限、接続できるデータソース、画面上の操作は、プラン、地域、組織設定、権限などによって変わる場合があります。実行時には、各サービスの画面と公式ヘルプを確認してください。
Deep Researchとは:検索・要約との違い
Deep Researchを使う目的は、検索結果を多く集めること自体ではなく、調査対象、比較軸、根拠、未確認事項を一つの成果物に整理することです。たとえば、競合比較、制度変更の論点整理、技術選定の下調べでは、複数の資料を同じ観点で確認する必要があります。
各サービスの実装は異なりますが、利用時には次の流れを意識すると、調査範囲と人による確認範囲を分けやすくなります。
- 目的と条件を伝える:意思決定、対象、期間、成果物を指定する。
- 調査の進め方を確認する:サービスによっては、調査計画の確認や修正を行う。
- 情報源を調べる:Web、アップロード資料、利用を許可した接続済みソースなどを参照する。
- 情報を比較・統合する:資料間の一致点、相違点、論点をレポートにまとめる。
- 根拠を確認する:引用、ソースリンク、参照元から重要な主張の原典を開く。
ChatGPTのDeep Researchについて、OpenAIは、検索、情報源の評価、クエリの改善、統合を含む複数ステップの調査プロセスとして説明しています。OpenAI Academy
比較項目 | 通常の検索・短い質問 | Deep Research |
|---|---|---|
向く問い | 用語の意味、公式ページ、単一の数値、直近の発表 | 比較、制度や市場の整理、複数資料をまたぐ論点の把握 |
出力 | 短い回答、リンク、要点 | サービスごとに異なる。レポート、比較表、ソースリンク、引用などが提供される場合がある。 |
人が担うこと | 回答とリンク先の確認、必要に応じた追加検索 | 調査範囲の指定、重要根拠の原典確認、意思決定、公開前のレビュー |
避けたい使い方 | 曖昧な問いを一問だけ投げ、結論を決めること | 出典やリンクが付いていることだけを理由に、契約・法務・投資・医療などの判断を確定すること |
AIに委任する範囲と、人による承認・停止条件を考える際は、AIエージェントはどこまで任せるべきかも参考にしてください。Deep Researchでは、資料を探し論点を整理する作業を任せつつ、重要な主張を採用する判断は人に残す運用を検討できます。
主要サービスのDeep Research:できることと使い方
以下は、2026年9月18日に確認できた各社の公式情報を基にした整理です。サービス間の優劣を示すものではありません。調査テーマ、使えるデータ、ソースの制限、出力形式、自社の評価基準によって適性は変わります。
サービス | 公式に確認できる主な流れ | 公式情報で確認できる出力・留意点 |
|---|---|---|
ChatGPT | Deep Researchを選び、目的、条件、必要な出力形式を入力します。Chatでは、調査計画の確認・編集、参照サイトの指定・制限、実行中の調整ができます。 | 構造化レポートを、引用またはソースリンク付きで受け取れます。利用可否や接続可能なアプリは、プラン、地域、ワークスペース設定、役割、権限に依存します。 |
Google Gemini | GeminiアプリでDeep Researchを選び、必要に応じてファイルを追加し、ソースを選択します。調査計画を編集してから開始できます。 | レポートが作成されます。Google検索は標準で含まれ、条件を満たす場合はGmail、Googleドライブ、ファイル、NotebookLMノートブックを情報源に追加または変更できます。 |
Perplexity | Perplexityの現行製品ページでは、Computer内のDeep Researchに複雑な質問を与え、調査計画と複数の検索ステップを通じて成果物を作る流れが説明されています。 | 同ページでは、構造化され、引用付きの調査結果を返す機能として説明されています。ファイルやアプリの情報とWeb情報を組み合わせる場合は、利用中のプランと権限を確認します。 |
ChatGPTでは、求める成果、条件、出力形式を伝え、必要に応じてファイルや利用したいソースを指定します。ChatでのDeep Researchは、提案された調査計画を確認・修正し、実行中も焦点やアクセスするソースを調整できます。完了後は、引用またはソースリンク付きの構造化レポートを確認できます。ChatGPTのDeep Research公式ヘルプ
Geminiでは、Google検索が標準の情報源に含まれます。ファイルやNotebookLMノートブックを追加でき、条件を満たす場合はGmailやGoogleドライブもソースとして選択できます。調査計画を編集してからリサーチを開始する手順も公式ヘルプに記載されています。GeminiアプリでDeep Researchを利用する
Perplexityの現行製品ページでは、Computer内のDeep Researchが、複雑な質問をサブタスクに分け、多数のソースを横断して構造化された引用付きレポートを作る機能として説明されています。Perplexity Deep Research公式ページ
失敗しにくい使い方:入力前に決める4項目
Deep Researchの出力は、入力した目的、対象範囲、根拠の指定、成果物の条件に影響されます。曖昧な問いのまま実行すると、総論は得られても、判断に必要な比較軸や除外条件が不足する場合があります。入力前に次の4項目を決めてください。
- 意思決定:何を決めるための調査か。例:導入候補を3社まで絞る。
- 対象範囲:対象地域、業界、期間、比較対象、除外条件を指定する。
- 根拠の優先順位:法令、規制当局、企業公式資料、原論文、第三者報道のどれを優先するか決める。
- 成果物と検証箇所:比較表、論点、未確認事項、候補案など、必要な構造を指定する。
以下はMojiによる提案のプロンプトテンプレートです。固有名詞、数字、文書名はすべて架空の例です。
目的:架空の例として、国内の製造業向けに文書検索AIを導入する候補を比較したい。
調査対象:日本で利用できるサービスを対象にする。
期間:2025年1月1日以降に更新・公開された情報を優先する。
比較軸:データの保存・学習利用に関する公式方針、権限管理、監査、検索精度の評価方法、料金体系。
根拠:各社の公式ドキュメント、契約・セキュリティ資料、政府機関または標準化団体の資料を優先し、二次情報は補助扱いにする。
出力形式:
1. 比較表
2. 各項目の根拠リンク
3. 確認できなかった項目
4. 導入前にベンダーへ確認する質問
5. 結論は断定せず、条件別に候補を分ける
禁止事項:根拠が確認できない数値や機能を推測で補わない。出典付きでも確認する:Deep Researchの検証手順
引用・リンクは主張を検証する入口ですが、引用元が主張を十分に支えているか、対象範囲や公開日が適切か、より直接的な一次資料があるかは別に確認が必要です。OpenAIは、2025年2月のDeep Research公開時の説明で、事実誤認や不正確な推論、権威ある情報と風聞の区別、確信度の表現に関する限界があり得ると説明しています。OpenAIによる公開時の限界説明
以下の5段階は、出力を業務で使う前のMojiによる提案です。
- 結論を分解する:レポートの結論を、「事実」「解釈」「提案」に分けます。
- 重要主張を選ぶ:予算、契約、法令、セキュリティ、競合比較など、誤ると影響が大きい主張に印を付けます。
- 引用先を開く:AIの要約だけでなく、原典の公開日・対象範囲・条件・本文を確認します。
- 一次資料へ寄せる:ニュースやブログから始まった情報は、企業公式、規制当局、原論文、統計の原表までたどります。
- 未確認を残す:根拠が弱い箇所を無理に結論化せず、「追加確認が必要」と明示します。
公開・意思決定前のチェックリスト
- 結論を左右する各主張に、直接確認したリンクがある。
- リンク先は、主張の対象地域・対象者・対象期間と一致している。
- 数値は、集計方法、母数、比較期間を確認した。
- 「可能」「対応」だけでなく、契約プラン、権限、提供地域などの条件を確認した。
- 引用文が、AIの結論を本当に支えている。
- 反対の根拠、例外条件、未確認事項が落ちていない。
- 機密情報、個人情報、顧客情報を入力してよい根拠と社内承認がある。
生成AIの出力を評価する際は、最終回答だけでなく、検索で適切な根拠を取得できたか、取得した根拠を回答に利用できたかを分けて評価すると、問題が生じた箇所を切り分けやすくなります。評価データの設計は、RAG評価データセットの作り方で解説しています。
活用事例:Deep Researchが向く業務と注意が必要な業務
業務 | 使いどころ | 人が確認すること |
|---|---|---|
競合・市場の初期調査 | 複数社の公式発表、製品ページ、ニュース、資料を同じ観点で整理する。 | 比較対象の漏れ、情報の更新日、各社の定義差。 |
社内資料を踏まえた企画のたたき台 | 許可済みの資料や接続ソースを基に、外部情報と区別しながら論点を抽出する。 | アクセス権、入力データの扱い、社内資料が最新版かどうか。 |
規制・制度の論点整理 | 論点、対象者、例外、関連する公的資料を洗い出す起点にする。 | 法令原文、施行日、管轄、個別事情。法的判断は専門家へ確認する。 |
技術選定の下調べ | 公式ドキュメント、リポジトリ、論文から比較表の初稿を作る。 | 対象バージョン、再現条件、ライセンス、実データでの性能評価。 |
契約締結・採用・投資の最終判断 | 判断材料の整理には使えるが、結論の確定は人が行う。 | 契約原本、専門家レビュー、承認権限、根拠資料の完全性。 |
接続した外部ツールや社内システムを含む調査フローを設計する場合は、API・MCP・A2Aの役割を分けて考える方法もあります。API・MCP・A2Aの違いでは、接続対象と任せる範囲の整理を解説しています。
機密情報・個人情報を扱う前の確認事項
社内文書や接続済みサービスを調査対象に加えると、公開Webだけでは得られない文脈を参照できます。その前に、利用するアカウント、組織設定、データ保持・学習利用に関する方針、アクセス権を確認してください。
OpenAIは、ChatGPT上のDeep Researchの会話が通常のChatGPT会話と同じデータ取り扱い・プライバシー設定に従うことを案内しています。また、Business、Enterprise、Eduのコンテンツは既定で学習に使われないとしています。利用形態によって条件が異なるため、契約中のプランと組織設定を確認してください。OpenAI Help Centerのデータプライバシー説明
Geminiでは、Google検索が標準で調査ソースに含まれます。GmailやGoogleドライブなどは、接続条件を満たす場合にソースとして選択できます。実行前に、対象となるフォルダ、ファイル、アクセス権を必要最小限にできるかを確認してください。Gemini公式ヘルプ
まとめ:Deep Researchは検証可能な調査プロセスの起点
Deep Researchは、複数の資料を読む負荷を減らし、論点、根拠候補、未確認事項を構造化するために使えます。出力を採用するか、どの根拠を信頼するか、最終的にどう判断するかは、人が確認する工程として残してください。
まずは影響の小さいテーマで、次の順番を試すことをMojiでは提案します。
- 意思決定、期間、比較軸、根拠の優先順位をプロンプトに書く。
- 調査計画を確認し、対象外・不足観点を修正する。
- 出力から重要主張を3〜5件選び、原典まで確認する。
- 誤り、根拠不足、引用不一致を記録する。
- 次回のプロンプトとチェックリストに反映する。
この運用を繰り返すことで、長いレポートを受け取るだけでなく、自社の目的に合う調査プロセスと評価基準を整えやすくなります。
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