AI生成とは?生成AIでできること・使い方・企業導入の判断基準

AI脆弱性診断
そのAIシステム、従来の診断だけで十分ですか?
外部・内部の弱点に加え、プロンプトインジェクションや過剰な権限などAI固有の攻撃面も診断します。
Riki KamanoCEO
大阪出身、東京都在住。LLMエンジニア、趣味は45キロの大型犬を飼っていて登山やゲームも好きです。慶應義塾在学中に起業した会社にて1500万ユーザーの日本一の車メディア事業を売却。その後サイバーエージェント、GREEなどを経てデザインエンジニアとしてスタートアップの支援を行い累計調達額100億を達成する。その経験を経てMojiを創業。
「AI生成」は、一般には文章・画像・音声・動画・コードなどを作成・編集する「生成AI」を指す検索表現です。まずは「何を作りたいか」を決め、低リスクな入力で試し、出力を人が確認するところから始めると、個人利用でも企業導入でも判断しやすくなります。
生成AIは、自然な文章や画像を短時間で作れます。ただし、もっともらしい誤情報、入力情報の取り扱い、権利、外部システム操作といった確認事項もあります。本記事では、初心者が使い始める手順と、企業が導入可否を判断するための基準を一続きで解説します。
NIST AI 600-1は、米国大統領令14110号における生成AIの定義として、入力データの構造・特徴を模倣し、画像、動画、音声、テキストなどの派生的な合成コンテンツを生成するAIモデルの類型を引用しています。NIST AI 600-1: Generative AI Profile
AI生成でまず知りたいこと:何ができるのか
生成AIは「チャットで質問に答えるもの」だけではありません。用途は、生成する媒体と、どこまで業務を任せるかで分けて考えると整理できます。
生成・処理する対象 | 主な用途 | 人が確認すること |
|---|---|---|
文章・コード | 要約、メールの下書き、構成案、翻訳、コード補助 | 事実、数値、固有名詞、引用、実行結果 |
画像 | ラフ、バナー案、背景、画像編集 | 入力素材の利用権限、人物・ロゴ、公開先のルール |
音声・動画 | ナレーション案、短尺動画、絵コンテ、編集補助 | 声・肖像の扱い、誤認を招く表現、公開前レビュー |
社内文書・業務データ | 規程検索、問い合わせの下書き、議事録整理 | 参照元、アクセス権、文書の更新、回答不能時の扱い |
画像を中心に使いたい場合は、画像生成AIおすすめ5選、用途別に比較する選び方を参照してください。社内文書を根拠付きで回答させたい場合は、単なるチャット利用ではなく、RAGとは?導入すべき業務の判断基準・他方式との違い・評価の進め方のように検索対象・権限・評価を含めて設計します。
AI・生成AI・LLM・AIエージェントの違い
これらは同じ分類軸の言葉ではありません。混同を避けるため、本記事では実務上次のように整理します。
用語 | 実務上の整理 |
|---|---|
AI | 予測、分類、認識、最適化、生成などを含む技術全般 |
生成AI | 文章、画像、音声、動画、コードなどを生成・編集するAI |
LLM | 主に言語を扱う大規模言語モデル。文章生成や要約、分類、コード補助などに使われる |
AIエージェント | LLMなどを使い、検索、文書作成、外部ツール利用など複数工程を進める仕組み |
つまり、LLMは生成AIの中心的な技術の一つですが、画像・音声・動画を扱う生成AI全体と同義ではありません。また、AIエージェントは「生成する能力」だけでなく、検索やツール操作をどこまで任せるかという実行範囲の話です。外部操作を含む場合の導入判断は、AIエージェントとは?生成AI・チャットボット・RPAとの違いと導入判断・実践手順も確認してください。
個人でAI生成を始める5ステップ
- 完成させたい成果物を一つ決める
「AIを使う」ではなく、「会議メモから決定事項を箇条書きにする」「既存文章の見出し案を3案作る」のように、完成形を定めます。 - 低リスクな材料で試す
公開済みの文章、自分で作ったメモ、または架空の例から始めます。顧客情報、未公開情報、個人情報を最初の試行に使わないことが重要です。 - 目的・読み手・形式・制約を渡す
誰向けの成果物か、何を材料にするか、表にするか、推測を許すかを明示します。 - 出力を検証して編集する
数字、日付、固有名詞、URL、引用、計算、断定表現を、入力資料または一次情報と照合します。 - 使えた指示と確認項目を残す
毎回ゼロから依頼せず、よい指示文とレビュー観点をテンプレートとして再利用します。
再利用できる指示文テンプレート
以下はMojiによる実務上の提案です。角括弧内を用途に合わせて置き換えてください。
あなたは[役割]です。
目的は[達成したいこと]です。
読み手は[対象読者]です。
次の材料だけを使い、[出力形式]で作成してください。
材料:
[文章・箇条書き・議事録など]
条件:
- 材料にない内容は推測で補わず、「不明」と書く
- 数字・固有名詞・日付は材料に根拠がある場合だけ使う
- 結論を先に書く
- [文字数、表、箇条書きなどの条件]
- 最後に、確認が必要な点を列挙するこのテンプレートは、AIの誤りをなくすものではありません。出力の根拠を限定し、不明点を可視化して、人が確認しやすくするための型です。
生成AIツールの選び方:ランキングより先に比較する4条件
「最も高性能な生成AI」を一律に決めることはできません。結論は、利用するモデル、入力品質、評価指標、許容できる誤りによって変わります。まずは次の4条件をそろえて候補を比較してください。
比較条件 | 確認する質問 |
|---|---|
対象業務 | 何の工程を短くしたいか。下書き、検索、分類、画像ラフ、外部操作のどれか。 |
入力データ | 公開情報だけか、個人情報・機密情報・顧客データを含むか。 |
品質基準 | 何を正解とするか。正確性、形式遵守、引用、修正回数、処理時間などを定められるか。 |
失敗時の影響 | 誤っても下書きを直せば済むか。誤送信、顧客データ更新、決済などの影響があるか。 |
たとえば、社内向けの文章下書きなら操作性と編集しやすさを優先しやすい一方、社内規程への回答なら参照元表示とアクセス権が重要です。API連携を前提にする場合は、生成AI APIとは?種類・選び方、料金の見方と開発手順を解説で、認証、データ保持、料金、遅延、監視を含めた比較軸を確認してください。
企業での生成AI導入:ツール選定より先に決める6項目
企業利用では、全社展開や完全自動化から始めるより、入力と出力を限定し、人が確認できる工程を一つ選ぶ方が、品質・工数・安全性を比べやすくなります。以下はMojiによる実務上の提案です。
- 対象業務:議事録整理、問い合わせ分類、規程検索など、開始と完了が分かる工程に絞る。
- 期待成果:時間短縮だけでなく、修正回数、対応漏れ、根拠表示など、改善したい結果を決める。
- 入力ルール:入力可能な情報、禁止情報、利用してよいサービス・契約・設定を明文化する。
- 確認者:AI出力を誰が、どの時点で承認・差し戻し・修正するかを決める。
- 許容しない失敗:個人情報の外部送信、権限外参照、根拠のない断定、顧客への誤送信などを定める。
- 継続・停止条件:評価結果をもとに、拡大、改善、中止を誰が判断するかを決める。
業務棚卸しから限定試行、定着までの進め方は、生成AI導入前の業務棚卸しと現場定着の進め方|対象業務の選び方・KPI・運用テンプレートで詳しく解説しています。
PoC評価シートの最小テンプレート
以下は架空の例であり、Mojiによる提案です。合格基準は、対象業務、利用モデル、入力品質、評価件数、許容誤差によって調整してください。
観点 | 確認する質問 | 記録例 |
|---|---|---|
正確性 | 根拠にない内容を断定していないか。 | 正確・要修正・不正確 |
根拠性 | 利用者が参照元を確認できるか。 | 参照元あり・なし |
安全性 | 入力禁止情報、権限外データ、不要な外部操作を扱っていないか。 | 問題なし・要是正 |
効率 | 確認・修正を含めても現行より工数が下がったか。 | 所要時間・修正回数 |
運用性 | 失敗時の担当者、連絡経路、停止条件が決まっているか。 | 担当・手順・判断日 |
生成AIの評価では、最終出力だけでなく、入力、参照情報、ツール連携、人の確認を含めた仕組み全体を対象にします。評価ケースの作り方は、LLM評価の進め方|モデル選定を導入判断につなげる比較基準・手順・チェックリストも参考にしてください。
生成AIの主な注意点と対策
誤情報・もっともらしい誤答
生成AIは自然な表現を作れても、内容が正しいとは限りません。NISTは、生成AIが自信ありげに誤った内容を生成・提示する現象を「confabulation」と整理しています。重要な数値、日付、法令、契約、人物・会社名、最新情報は、AIの回答ではなく原典で確認してください。NIST AI 600-1: Generative AI Profile
企業文書での確認・承認・改善を業務フローに落とす方法は、生成AIの正確性課題とは?企業文書の誤情報を防ぐ評価・承認・改善フローで解説しています。
医療・法律・投資・採用など、影響が大きい判断
医療、法律、投資、採用・評価、融資、契約確定など、誤りや偏りが大きな影響を持ちうる場面では、生成AIの回答だけで結論を確定させないでください。少なくとも、専門家による判断、原典確認、既存の承認手順を組み合わせ、AIは論点整理・下書き・確認事項の抽出など、役割を限定して使う方法を検討します。
これは業務の影響に応じたMojiによる実務上の提案です。NIST AI 600-1も、生成AIの利用では状況に応じて追加の人によるレビュー、記録、管理上の監督が必要となり得ると示しています。高影響な判断ほど、誰が最終責任を負い、どの原典・評価結果・承認記録で結論を支えるかを事前に決めてください。NIST AI 600-1: Generative AI Profile
個人情報・機密情報の入力
個人データをクラウド型生成AIへ入力する場合、目的に必要な範囲か、提供事業者が当該個人データを機械学習に利用しない設定・条件になっているかを確認する必要があります。個人情報保護委員会も、個人データを含むプロンプトを入力する場合は、利用目的との関係と、提供事業者による機械学習利用の有無を十分に確認するよう示しています。個人情報保護委員会:生成AIサービスへ個人データを入力する際の留意点
確認対象は「サービス名」だけではありません。契約プラン、管理者設定、入力先の機能、保持期間、接続先、ログ、共有設定まで業務単位で確認します。社内の未承認利用を扱う際は、シャドーAIのリスクと対策|全面禁止に頼らない可視化・公式代替・監査の進め方も参照してください。
プロンプトインジェクションと外部操作
Webページ、メール、添付ファイル、検索結果をAIが読み、さらに外部ツールを操作する構成では、外部コンテンツに埋め込まれた指示によって意図しない行動へ誘導されるおそれがあります。OWASPは、悪意ある入力内の指示がモデル本来の動作を上書きさせる攻撃をプロンプトインジェクションとして説明しています。OWASP GenAI Security Project:Prompt Injection
対策をプロンプトの注意書きだけに頼らず、ツール権限の最小化、送信・削除・発注・決済・顧客情報更新への承認、操作ログ、停止条件を組み合わせます。AIエージェントに操作を任せる範囲は、AIエージェントのガードレール設計|暴走を防ぎながら自動化を進める権限・承認・停止・監視の実務ガイドで整理できます。
著作権・肖像・声・商用利用
生成物を公開・販売・広告に利用する前には、入力素材の利用権限、サービスの利用条件、第三者の著作物・氏名・肖像・声・商標との関係、公開先のルールを確認してください。「AIで作ったから自由に使える」とは一律にいえません。
文化庁が公開する「AIと著作権に関する考え方について」は、生成AIと著作権に関する考え方を整理した資料であり、特定の生成AIや技術について確定的な法的評価を行うものではないとしています。著作権法の解釈は、個別具体的な事案に応じた司法判断によるべきものと整理されています。文化審議会著作権分科会法制度小委員会:AIと著作権に関する考え方について
重要な公開物では、制作過程、使用素材、編集・承認の記録を残すことを検討してください。ただし、これらの記録は確認・説明を補助するものであり、権利関係や利用可否を保証するものではありません。必要に応じて、利用地域の法令、契約、公開先のルールを確認し、法務・専門家へ相談してください。
AI生成の導入・公開前チェックリスト
- 何を生成・編集し、誰が成果物を使うのかを一文で説明できるか
- 入力してよい情報と、入力を禁止する情報を分けたか
- 数字、固有名詞、引用、日付、法令・契約について確認者を決めたか
- 医療、法律、投資、採用・評価、融資、契約確定など高影響な判断では、AIの出力だけで結論を確定せず、専門家判断・原典確認・既存承認手順を組み合わせるか
- 利用するサービスの契約、管理設定、データ利用・保持、接続先を確認したか
- 公開物について、入力素材、人物・声、ロゴ・商標、公開先の条件を確認したか
- 外部システムを操作する場合、最小権限、承認、停止条件、ログを設計したか
- 実際の業務に近い入力と、失敗しやすい例外ケースで評価したか
- 継続、改善、停止を誰がいつ判断するかを決めたか
まとめ:AI生成は「作れるか」ではなく「確認して使えるか」で判断する
AI生成、すなわち生成AIは、文章、画像、音声、動画、コードなどを作成・編集するために使えます。初めて使う場合は、低リスクな材料を使い、完成物を一つに絞り、人が出力を検証する流れから始めてください。
企業では、ツール名やベンチマークだけで選ばず、対象業務、入力データ、評価指標、許容できない失敗、人の確認、停止条件を対応付けることが重要です。NIST AI RMFは、AIリスク管理をGOVERN、MAP、MEASURE、MANAGEの4機能で整理しています。すべてを一度に整えるのではなく、対象業務を限定して、目的・評価・対応を継続的に見直す運用を作ることが導入の出発点になります。NIST AI RMF 1.0
本記事は2026年11月2日に公開情報を確認して編集しています。サービス仕様、料金、利用規約、法令・制度は変更されるため、実際の利用前には提供事業者と関係機関の最新情報を確認してください。